🦠 炎症の抑制におけるプロバイオティクスの役割
炎症性腸疾患(IBD)は、消化管に炎症や損傷を引き起こす慢性的な状態です。免疫系の不調がIBDの引き金となることが多いため、腸内でのプロバイオティクスの摂取が炎症の制御に寄与する可能性があります。特に、ネイティブな乳酸菌であるラクトバシラス種が、炎症関連のシグナル伝達経路に影響を与えることが期待されています。本記事では、最近の研究結果をもとに、ラクトバシラス種の効果を詳しく解説します。
🧪 研究概要
本研究では、ネイティブなプロバイオティクスであるラクトバシラス種が炎症の制御に及ぼす影響を探るため、in vitro(試験管内)モデルを用いて実施されました。具体的には、HT-29細胞をグラム陰性菌に曝露し、炎症関連のシグナル伝達経路の変化を評価しました。
🔬 方法
研究では、以下のラクトバシラス種を含むカクテルを用いて、治療を行いました:
- Lactiplantibacillus plantarum PR 365
- Lactiplantibacillus plantarum PR 42
- Lacticaseibacillus rhamnosus PR 195
- Levilactobacillus brevis PR 205
- Limosilactobacillus reuteri PR 100
治療は、グラム陰性菌への曝露前、後、及び同時に行われ、定量的リアルタイムPCR法を用いて評価されました。
📊 主な結果
| 治療段階 | MAPK遺伝子発現レベル | MYD88非依存性遺伝子発現レベル |
|---|---|---|
| 曝露前 | 増加 | 変化なし |
| 曝露後 | 有意に減少 | 異なる反応 |
| 同時治療 | 有意に減少 | 異なる反応 |
💭 考察
研究の結果、ラクトバシラス種はHT-29細胞においてMAPK及びMYD88非依存性のシグナル伝達経路を調節することにより、抗炎症効果を示しました。特に、グラム陰性成分への曝露後にMAPK遺伝子の発現が増加したものの、プロバイオティクスの投与によってその発現が有意に減少したことが確認されました。このことから、ラクトバシラス種はIBDなどの炎症関連疾患の予防や治療に有用である可能性が示唆されます。
📝 実生活アドバイス
- プロバイオティクスを含む食品(ヨーグルト、発酵食品など)を積極的に摂取しましょう。
- 腸内環境を整えるために、食物繊維を多く含む食事を心がけましょう。
- ストレス管理を行い、免疫系の健康を保つことが重要です。
- 定期的に運動を行い、全体的な健康を促進しましょう。
⚠️ 限界/課題
本研究はin vitroモデルに基づいているため、実際の人体における効果を直接的に示すものではありません。また、使用したラクトバシラス種の効果が他のプロバイオティクスと比較してどのように異なるのか、さらなる研究が必要です。
まとめ
ネイティブなプロバイオティクスであるラクトバシラス種は、炎症性腸疾患の予防や治療において有望な役割を果たす可能性があります。今後の研究によって、これらの乳酸菌の具体的なメカニズムや臨床応用が明らかになることが期待されます。
参考文献
| 原題 | The preventive and therapeutic role of native probiotic Lactobacillus species in controlling inflammation. |
|---|---|
| 掲載誌(年) | Folia Microbiol (Praha) (2025 Sep 3) |
| DOI | doi: 10.1007/s12223-025-01321-0 |
| PubMed URL | https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40903699/ |
| PMID | 40903699 |
書誌情報
| DOI | 10.1007/s12223-025-01321-0 |
|---|---|
| PMID | 40903699 |
| PubMed URL | https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40903699/ |
| 発行年 | 2025 |
| 著者名 | Abdollahi Sara, Mehrabian Sedigheh, Pourshafie Mohammad Reza, Rohani Mahdi |
| 著者所属 | Department of Microbiology, NT.C., Islamic Azad University, Tehran, Iran. / Department of Bacteriology, Pasteur Institute of Iran, Tehran, Iran. pour@pasteur.ac.ir. / Department of Bacteriology, Pasteur Institute of Iran, Tehran, Iran. kia.rohani1979@gmail.com. |
| 雑誌名 | Folia microbiologica |